aesthetics

美的スポイルスポートの悪徳

銭さんの日記でグエンの「Debunking Taste」という論文が紹介されていた。 https://www.senkiyohiro.com/diary#h.7gd2uflvcl4k 論文の要点はリンク先を見てもらえばいいが、ようするにセンス競争が起きているような場面で、その前提となる「趣味のよしあし」…

美的ノーミーに共感するか、美的エリートに共感するか

勉強会のあとの雑談をしていて、美的ノーミー*1に共感するか、美的エリートに共感するかという問いが出た。なんとなくもやもや考えていたことがパキっとした気がした。 その場での自分の回答は次のようなものだった。ある意味で美的エリートに共感する面もあ…

相対主義の程度

「美味しい」とは何か-食からひもとく美学入門 (中公新書 2713) 作者:源河 亨 中央公論新社 Amazon 源河さんの『「美味しい」とは何か』を読む会で、美的性質の傾向性説のようなある種の相対主義(正確には文脈主義)を積極的に難じている方がいたのだが、批…

美学と概念の関数モデル

先週末の科学基礎論学会(プログラム)に参加して、概念論のワークショップを聞いた。提題者の浅野将秀さんが紹介していたロッツェの関数モデル*1が、以前からなんとなく考えていた概念のはたらきのひとつをすっきり整理してくれるものだった。 関数モデルに…

スノッブワールドの作り方

「アートを分からずに文句を言うやつは、スポーツのルールを知らずに文句を言う観客と同じ」っていう言説がいっときあったんだけど、それならさっさとルールブックを見せろよとしか思わなかったな(実際には「ルールを知りたい方はこちら!」と言って有料講座…

愛と批評

最近の若者は批評を嫌う的なくだらない文章を読んだが*1、若者がどうかはともかく、作品に対する理由にもとづいた価値づけ(とりわけネガティブなもの)を嫌う人が一定数いるのはたしかだろう。 授業でも「美的判断は好き嫌いとは違っていて~~」みたいな話…

美的論争のうれしさ

銭さんがまとめていたキャロルの論文に関連して。 がせわしないせいか、Twitterでは無駄に煽り風にしてしまった。反省。 キャロルの立場は、悪名高い(にもかかわらず根強く人気な)de gustibus non est disputandumの思想に対する一貫したアンチなのだろう…